遺伝と環境について
私の父は双極性障害でした、しかしうつに耐えられずアルコールの力を借りてアルコール依存症となっていました。
(このように、アルコールの問題がある方の中にも、双極性障害の方が多くいます、
抑うつう状態に耐えられないので、アルコールを飲んでハイな気分を保とうとするのですね)
私は3人兄弟ですが、3人共に多かれ少なかれ双極の傾向があります。
こう書くと、双極は遺伝するだろうと思われるかもしれませんが、必ずしもそうではないようです。
私の妻の父、つまり義理の父も双極性障害でしたが(なんて双極の多い家系なんでしょう…)
妻も妻の兄弟も、双極の傾向を持った人はいません。
多くの遺伝研究では、遺伝の影響があることを示していますが、私の妻のように遺伝しない場合もあります。
片方の親が双極性障害だった場合、子どもが双極性障害になる発症率は15〜30%だといいます、
この数字をどうとらえるか、多いか少ないか、は人それぞれだと思いますが、多くても70%の子どもには遺伝しない、
と考えると、私には遺伝の影響ってそれほどでもないんだな、と思えてきます。
これからの遺伝研究が待たれるところですが、人生は遺伝だけで決まるわけではありません。
人生を決めるのは「生まれ(生まれ持ったもの、遺伝)、育ち(育った環境)、運」の3つが折り重なったものです。
特に環境については、重要なことのように思います。
アメリカににアーミッシュという人達がいるのですが、この人たちは電気やガソリンを使わず、質素で自然な毎日を送る人々です。
このアーミッシュの人達の中にも双極性障害の方がいるのですが、症状としては比較的穏やかな人が多いということです。
つまり、環境が変わると、双極性障害の症状も落ち着く可能性があるということなのです。
これは、あたりまえに聞こえるかもしれませんが、大きなことです。
双極の波の激しい人が、会社を変わる、住む環境を変える、
刺激の少ない生活を送る、良いコミニティに属する、ということで、波が収まる可能性があるのです。
(参考文献:ディミトリ・パポロス&ジャニス・パポロス 子どもの双極性障害)